「環境ホルモン含むおもちゃの販売、自粛の動き−百貨店など」





〜朝日新聞1998/07/07朝刊〜

 有害性が指摘されるフタル酸エステル類を含む塩化ビニル製の乳幼児向けおもちゃについて、大手百貨店などで販売自粛の動きが広がっていることが6日、環境保護団体グリーンピース・ジャパンが公表した調査結果で分かった。
同団体の公開質問状に回答した2020社のうち、乳幼児向けは「販売中止を検討」が6社、「直接口に入れる『歯がため』は自粛」が4社、「(自粛を)検討中」は8社にのぼった。
 公開質問状は大手百貨店13社と大手量販店9社に送り、20社が回答。いずれも、小学生向けなども含めた塩化ビニル製のおもちゃ全般を「扱っている」と回答。うち19社が3歳児以下対象の商品を「販売している」と答えた。
 このうち、西友は、3歳児未満向けの塩化ビニル製おもちゃの販売を7月いっぱいで自粛と決めた。ユニーは6カ月〜1歳児向けを中心に、口に含む可能性の高い商品の販売は年内にも中止する意向だ。
 また、3歳未満児向けで口に入れる、くわえるなどを目的とした商品の扱いをやめる方向で検討中が三越など6社。歯がためについては、伊勢丹や近鉄百貨店など4社が販売を「自粛か中止している」と答えた。
 今後も販売すると答えたのは1社で「顧客の要望と品ぞろえから、有害性が証明されるまで販売せざるを得ないが、切り替えに努めたい」としている。

 今回の結果について、グリーンピース・ジャパンの関根彩子さんは「商品の安全性確保を優先する姿勢が表れている。ただ、売り場で今回の回答通りに改善が進むかどうか、消費者が監視していく必要がある」と話している。
フタル酸エステル類は、生殖障害を起こすとされる環境ホルモンが多く含まれ、発がん性も指摘されている。

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