「精子減少全国調査へ─1500人対象、年内にも実施/医大などのグループ」



〜朝日新聞1998/10/20朝刊〜

 内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の影響の有無で論議を呼んでいる精子減少の問題で、厚生省の研究費を受けた岩本晃明・聖マリアンナ医大教授を代表者とするグループが精液の全国調査を年内にも始める。大学病院など5施設で、パートナーが妊娠中の男性計1500人に提供してもらい、1ミリリットル中の精子数や正常に動く精子の割合(運動率)などを調べる。国際共同研究の手順に従っており、各国の比較にも役立ちそうだ。

 精子減少が問題になったのは、1992年にデンマーク・コペンハーゲン大のニールス・スカケベック教授らが「30年代からの約50年間で半減した」と発表したのが発端。まだ決定的な証拠はなく、今も論争が続いている。

 このため、スカケベック教授らは欧州4カ国と日米で共同研究を計画、日本では岩本教授のグループが昨秋から横浜・川崎地区で250人を超す男性の精液を集めた。ただ、海外の調査で「地域差がある」とも指摘されていることから全国を対象とすることにした。

 調査には聖マリアンナ医大のほか、札幌医大、金沢大、大阪大などが参加。スカケベック教授らと同じ手順で、パートナーが妊娠している男性の精液を集める。提供者の食生活なども調べ、精子数や運動率に何が影響を与えるかも探る。

Back