「ごみ焼却施設煤じんに住民が抗議」

中部の施設組合、発生抑止対策を検討



〜沖縄タイムス1998/05/31朝刊〜

 中部北環境施設組合管理のごみ焼却施設東西工場(石川市伊波)から排出される煤塵(ばいじん)や悪臭で「日常生活や農作業に悪影響が出ている」として、付近に住む住民や農家らが29日、同組合に抗議、改善を求めた。組 合側は煤塵の発生を認め「今後、発生を抑えるよう検討したい」と回答。ダイオキシン汚染の不安も訴える住民らは「4年前から対策を訴えているが、全く改善されていない」と不満をぶつけ、対応次第では「法的措置も辞さない」としている。
 同工場は石川市、恩納村でつくる旧「東西清掃施設組合」のごみ焼却施設として1979年に完成。両地域から出る1日平均約30トンのごみを処理している。昨年4月に具志川、石川、与那城、勝連、恩納の二市二町一村で設立 した「中部北組合」に移管された。
 住民らによると、風向きによっては工場の煙突からはき出される真っ黒な煤塵が昼夜にかかわらず家屋や畑に降下。また、同施設の燃焼が不安定でダイオキシン発生の不安もあるとして、これに伴う身体的、精神的な被害や家 畜、農作物への悪影響を訴えている。
 被害は以前からあり、1996年に抗議した際、当時の東西組合側は改善を約束。「1998年ごろには工場の建て替え計画もある」と説明していたが、その計画も広域組合への移管で先送りとなっており「我慢も限界に達している」と強調している。
 同工場で行われた話し合いには、石川市内の農家や鉄工所経営者ら三人のほか、中部北組合の山城正俊事務局長、石川盛友石川市生活環境課長、大城利晟恩納村保健福祉課長らが出席。
 工場から直線で約百メートルの距離に住む鉄工所経営山城勉さん(57)は、採取した煤塵や黒煙を上げる煙突の写真などを提示。「洗濯物は外に干せない状態。外での作業はマスクを二重にして行っている。公害を抑えるのは行 政の義務。なぜわれわれが犠牲にならなくてはいけないのか」と語り、現状での運転中止や早急な改善を要求した。
 これに対し、組合側はすでに施設が耐用年数(15年)を超え、焼却能力や焼却時の集じん力が低下していることを認めた上で「燃焼効率の向上と公害防止を図るため処理時間を延長したり、小まめに修繕するなど改善に努力して いる」と説明。ダイオキシンやばい煙の濃度も基準値以下とし、今後の具体的な対応策についてはあらためて回答すると話した。

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