「ペレット汚染列島覆う−沖縄含め、広範囲に漂着」



〜琉球新報1998/07/15朝刊〜

 「レジンペレット」と呼ばれるプラスチックでできた直径数ミリの小粒子が、離島も含めほぼ全国の海浜に多数漂着し、環境を広範囲に汚染していることを、国立医薬品食品衛生研究所の神沼二真部長らが初の全国調査で確認した。
 環境保護団体「クリーンアップ全国事務局」や東京水産大と協力して調べた。ペレットをのみ込んだ野生生物への悪影響や内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が溶け出すことも心配されているが、発生源が多様な粒子だけに、汚染防止は難航しそうだ。
 研究グループは昨秋、全国の海岸線を調べた。北は北海道小樽市から、南は沖縄県まで約60カ所、ほぼ全国の海岸で、プラスチック製品に加工される前の中間材料のペレットが確認された。
 最も多く漂着していたのは神奈川県の鵠沼海岸で、一平方メートル当たり1000〜1500個もあった。愛知県豊橋市や、名古屋市の藤前干潟、石川県小松市などでも大量に発見され、久米島や、伊豆諸島、小笠原諸島・父島などの離島でもかなりの数が見つかった。
 太平洋側に漂着したペレットの一つを東京農工大で分析したところ、環境ホルモンとされているノニルフェノールが1グラム当たり約100万分の7グラム検出された。
 調査をまとめた衛生研の大竹千代子研究員は「ペレットが生物の体内に入れば、さまざまな悪影響が出る可能性がある。海水中の汚染物質を吸着して、その運搬役となるかもしれない」と話している。
 大竹研究員は、ホームページを開いて対策を呼び掛ける一方、各地の海岸でのペレットの発見情報を求めている。ホームページのアドレスは

http://www.nihs.go.jp/pdw/index.html

レジンペレットプラスチックを製品に加工する前の小さな粒子。レジンは樹脂の意味。直径数ミリの円筒、円盤、球など形も、材料もいろいろな種類がある。原料工場から、ほとんどがペレットの形で出荷され、加工工場で成形される。1972年に米国の研究者が米国沖で大量に浮遊しているのを発見して以来、海洋汚染が問題になった。

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