「極微量でも毒性環境ホルモン講演会−琉大医学部武居教授」



〜琉球新報1998/07/16夕刊〜

 社会問題化する環境ホルモンの知識を文系の学生などに広める目的で、琉大医学部の武居洋教授が15日、沖大で講演した。

 講演では有害物質に日常的にさらされている現状を話した。講演後の質疑応答で、発生源を断ち切るのは困難だとし、また薬で体内の環境ホルモンを除去するのも現在の医学では大変難しいと述べるにとどまった。

 講演には一般市民も含め80人余が参加。武居教授は、環境ホルモンが社会問題化してきた過程を説明。日常的に有害化学物質にさらされている現状を話し、極微量でも毒性があることが問題だと指摘した。

 さらに、予防策として発生源を断つのが最善としながらも、環境ホルモンの発生源として疑わしいポリ容器などをすべて使わないことは難しいと話した。その上で個人としてできることは、環境ホルモンに必要以上にさらされないように努力することだと呼び掛けた。また行政レベルでは、環境ホルモン源の有無を商品に表示すべきだとの考えを表した。

 講演後の質疑応答で、「ダイオキシンは塩素系化合物から発生する。これを止められないか」との質問に武居教授は、「企業の側が(塩素系化合物の)識別までして製造するかどうか、研究する集団がいるかどうか、の問題がある」と悲観的に答えるにとどまった。

 殺虫剤として戦後用いられたDDT(有機塩素系殺虫剤)やトランスなどに使われてきたPCB、廃棄物焼却過程で出るダイオキシンなど約70種の化学物質が環境ホルモン作用の疑いがあるとされる。

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