八王子の業者捜索 都の警告、再三無視
−多摩川支流−










 警視庁生活経済課は19日、廃棄物処理法違反容疑で東京都八王子市西寺方町、無許可の産廃処理会社・尾沢興業の本社事務所など10数カ所の家宅捜索を始めた。同社は長年にわたり、多摩川支流の北浅川河川敷に産廃や焼却灰を大量に不法投棄していた疑いがもたれている。生経課は多摩川下流が産廃で汚染されていないかどうか調べるため、水質検査を行う方針だ。
 調べでは、尾沢興業は昨年から今年にかけ、都の許可を受けずに、建設廃材などの産廃約50トンを収集、運搬、処理していた疑い。同社はこれまで再三にわたって都の警告を受けていながら、これを無視して無許可操業を続けていたという。同社に処理を委託していた建設業6社も捜索を受けた。
 生経課によると、同社は産廃を焼却炉で燃やしたり、敷地内で「野焼き」したりした焼却灰を河川敷に大量に積み上げていた。同課は下流の多摩川が産廃で汚染された可能性もあるとみて水質検査を実施する。近くには農業用水の取水口などがあるという。
 産廃の不法投棄や無許可営業は適用される罰金が低く、これまでは摘発されても「捨て得の状態」と指摘されていた。昨年12月からは改正廃棄物処理法が施行され、罰金も大幅に引き上げられた。同法施行後に警視庁が産廃の不法投棄を摘発するのは初めて。

 尾沢興業が産廃を不法投棄したとされる河川敷には、高さ20m程の産廃の小山が長さ200m以上にわたってできていた。黒っぽい焼却灰やコンクリート片などが積み上げられ、すぐ目の前を透き通った北浅川が流れている。
 隣接する本社敷地内にはパワーショベルなどの重機が無造作に止められ、廃棄物を焼却する白い煙が絶え間なく上がっている。道路際にはトタンの囲いがあり、無許可で操業しているとされる「処理場」は外から見えない。
 近所の住民は「川が増水したときはよく産廃が流されていた。(尾沢興業は)その上にまた産廃を積み上げていた」と話している。

〜朝日新聞朝刊1998/02/19〜


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