「環境ホルモン─東京都、独自に検査へ」
カップめん容器など対象

 人体への有害な影響が心配されている環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)を含む食器や容器から溶け出す成分について、東京都は5日の都議会で、独自の検査を実施する方針を明らかにする。食品衛生法で義務づけられている食器の検査方法とは別に、実際の使用状況を想定した検査を行うほか、研究者が危険性を指摘しているカップめん用の発泡スチロール容器も対象とする。
 コップ、サラダボウルなどに使われるポリカーボネートは、環境ホルモンの一つであるビスフェノールAを原料としている。食品衛生法で、食器、容器用のプラスチックから溶け出す有害物質の検査は、60度の湯に容器などを30分間つけたあとの残り湯を対象にするなどの条件が定められている。しかし、例えば、ほ乳瓶は繰り返し煮沸消毒して使われるケースが多く、都は現行の検査では危険性がつかみきれないと判断。実際に使用を続けた状態を想定した容器で実施する考えだ。
 さらに、カップめん用の容器は、熱湯を注ぐことで別の環境ホルモンが溶け出す可能性が研究者から指摘されている。このため、都は食品衛生法の対象外のこの容器も検査することにした。
 都は1997年度にポリカーボネート製の食器類について10品目67検体を検査したが、溶出検査ではいずれも基準値以下で、「人体にただちに影響を及ぼすことはない」としていた。
 その後、危険性を指摘する研究結果が発表されていることを受け、より具体的な調査に乗り出すことにした。
 環境ホルモンについては、動物実験で性器や性行動に影響を与えることが確認され、人間についても精子が減少する原因との報告がある。

〜朝日新聞1998/03/05朝刊〜

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