「若者の精子基準以上、34人に1人」

帝京大調査 国内初データ


 日本人の健康な若者24人の精液を調べたところ、精子の濃度や運動率が世界保健機関(WHO)の基準を満たしたのは1人しかいなかった−。こんな調査結果を帝京大学の押尾茂講師(泌尿器科学)らがまとめた。体内に取り込むとホルモンの動きを乱す化学物質「環境ホルモン」が問題視され、数年前から欧米各国で精液や質や濃度の低下が報告されているが、日本で具体的なデータが示されたのは初めて。「大規模な調査の必要を迫るもの」と専門家は指摘している。13日から京都で開かれる精子形成・精巣毒性研究会で発表される。
押尾講師らは1996年4月から1998年1月にかけて、20〜26歳の健康な若者34人から精液の提供を受け、精子の質や濃度を測定した。
 WHOの基準値では、精液の量が2ml以上、精子の濃度が1mlあたり2000万個以上、直進運動する精子の率(運動率)が50%以上、正常な形の精子の生存率が30%以上、精子の生存率が75%以上と定められ、どれかが下回ると不妊のおそれがあるとされる。

〜朝日新聞1998/03/09朝刊〜

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