「母乳のダイオキシン濃度−安全指針の6倍超」



 厚生省の「母乳中のダイオキシンに関する検討委員会」(委員長・平山宗広日本こども家庭総合研究所長)は7日、1997年度から埼玉、東京、石川、大阪の4都道府県の女性を対象に実施した母乳のダイオキシン濃度調査の中間結果を明らかにした。
母乳中の脂肪に含まれるダイオキシン(平均)
・出産後5日目 17.4pg/1g
・出産後30日目 15.2pg/1g
1994年〜1995年度の調査で得られた26.6pgより減少していた。
 乳児が飲む1日の母乳量を体重1kg当たり120gとして計算すると、1日のダイオキシン摂取量は平均約60pg〜72pgとなり、厚生省が安全の指針としている耐用摂取量(TDI-10pg)の6、7倍となるしかし委員の多田裕東邦大教授(小児科)は「乳児の異常所見もなく、母乳の重要性から見るとすぐ問題とは断定できない」と話している。
 調査は4都道府県の第1子を産んだ25〜34歳の母親80人を対象に1997年度から2年計画で実施。平均的な授乳期間に当たる10ヶ月に4回母乳を摂取、ダイオキシンの濃度変化を見る。今回は2回分をまとめた。同省は「授乳期間を通しての継続的な調査は初めて。今後の調査で脳その辺かを見守りたい」としている。
 また、対象者の移住地と廃棄物処理施設からの距離と、母乳の汚染の関連も調べたが結果にはばらつきがあり、同委員会は相関関係は見られなかったとしている。しかし、母親の半数以上が居住2年未満で、廃棄物焼却場の性能なども考慮されていないなど検討が不十分で、多田教授は「相関関係の結論を出すにはさらには詳しい分析が必要だ」と話している。
 一方、大阪府が凍結保存していた母乳中のダイオキシン類濃度を調べたところ、1973年は25.6pgだったが1996年には16.3pgと、減少傾向にあった。

〜沖縄タイムス1998/04/08夕刊〜

■関連記事:朝日新聞1998/04/08朝刊

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