「ダイオキシン高濃度は同型炉」

50焼却施設厚生省調査

6施設、平均の3倍


 大阪府豊能群能勢町のごみ焼却施設「豊能郡美化センター」周辺で高濃度のダイオキシンが土壌などから検出された問題で、同センターと同じ型の焼却炉を備えた自治体経営施設が全国に50カ所あることが分かった。厚生省がまとめた非公開の調査資料によると、50施設の排ガスの平均ダイオキシン濃度は、厚生省の緊急対策基準を上回っていた。また、焼却灰や汚泥から高濃度ダイオキシンが検出されている兵庫県の宍粟環境美かセンターも同型炉。豊能、宍粟の両施設の焼却炉のいずれも3基同般製で、同社が納入した全国6施設の同型炉のダイオキシン濃度は、50施設の平均値の約3倍に上がっている。
 厚生省の調査資料は、一般廃棄物を焼却する自治体経営の全国約1640カ所の施設のうち、焼却方式が流動床(熱した砂を上げて燃焼する方式)又は焼却方式が炉頂型(炉の真上から水を噴霧して排ガスを冷却する方式)−の組み合わせの焼却炉について、都道府県の担当部署から集めたデータをまとめてある。
 排ガス一立方メートル当たりのダイオキシン濃度は50施設平均で96.7ナノグラムに達し、厚生省が緊急対策が必要として定めた同80ナノグラムを上回っていた。
 さらに、三井造船作成の納入実績表などによると、豊能町、宍粟の両施設はいずれも同社製。同社の流動床と炉頂型冷却装置の組み合わせの炉は両施設を含めて全国に6カ所あり、排ガスの平均濃度は297ナノグラム。厚生省がまとめた50施設の平均値に比べて約3倍の数値だった。

 ●山田祐哉・三井造船環境プラント事業部プロジェクト部長の話
流動床、炉頂型ガス冷却装置の組み合わせで、わが社製のダイオキシン濃度が高いということだが、ほかのメーカーに比べて構造は似たり寄ったりのはずなので、はっきりとした理由は分からない。

〜朝日新聞1998/04/19朝刊〜

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