「食品業界、環境ホルモンへ対策続々」

カップめん容器変更も



〜朝日新聞1998/05/16朝刊〜

 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の人体への悪影響の懸念が広がっているのを受けて、食品業界で調査に乗り出したり、容器の見直しをしたりする動きが出てきた。消費者に不安が強いことから、コンビニエンスストアなどがメーカーに容器の変更を求める声も出ている。
 カップめんの容器は、全体の9割以上が発泡スチレン製で、環境ホルモンの疑いのある物質が含まれている。このため、研究者や自治体が安全性などを独自に検査する動きが広がっている。
 即席めんメーカーなど51社が加盟する日本即席食品工業協会(理事長・安藤宏基日清食品社長)にも消費者から不安の声が寄せられており、5月に首都圏の約200人に電話で聞き取り調査をしたところ、カップめんを「買う(食べる)のをやめる」「減らす」という回答が約3割を占めたという。
 危機感をもった同協会は、民間研究機関に調査を依頼して、セ氏90度の熱湯では、環境ホルモンの疑いのある化学物質が溶け出さないことを確認した、という。15日から、新聞1ページを使って、「カップめんの容器は、環境ホルモンなど出しません」と訴える意見広告を始めた。
 協会の福島敏美専務理事は「要望があれば詳しいデータも出すし、100度でも大丈夫かという問い合わせもあったので、再調査して不安を解消したい」と話す。
 しかし、消費者の不安が残ることから、容器を変更する食品メーカーも出てきた。旭松食品(本社・大阪市)は、カップ入り即席みそ汁の容器を一部、発泡スチレン製から紙製に切り替えるテストを始めた。ハナマルキ(本社・長野県辰野町)も「環境への配慮」のため4月から、全面的に三重構造の紙容器に切り替えた。大日本印刷は3月から、発泡スチレン製容器に代わる断熱効果の高い紙カップの取り扱いを始め、注文が増えているという。

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