缶詰に環境ホルモン

内面塗料から溶け出す



〜沖縄タイムス1998/05/21朝刊〜

 缶詰に広く使われているエポキシ樹脂の内面塗料から、ホルモンに似た動きをして、生殖機能などに悪影響を与えるとされる内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の一種、ビスフェノールAが溶け出すことが20日、大手製缶会社の分析で分かった。
 分析結果は、消費者団体、生活クラブ生協連合会(東京都)の要請で、業界大手の東洋製缶(本社東京)と北海製缶(同)が同連合会に報告した。
 厚生省は「現段階では、人体への影響があるとは考えていない」としているが、同連合会は、問題のある缶を他の容器に変えていくことを決め、メーカーに安全な缶の開発を要請した。
 同連合会への報告によると、東洋製缶の試験では、精製水とアルコール水溶液を使い、約120度の温度の条件下で2時間〜30分かけ、それぞれビスフェノールAの溶出量を測定。その結果、一部の缶から38〜9ppbを検出した。
 また、北海製缶の水への溶出試験でも、エポキシ樹脂の内面塗料を使ったカニ用の缶から60ppb、コーン用の缶から30ppbを検出、一般のエポキシ樹脂使用缶は60〜30ppbの範囲で溶出しているという結果を報告している。
 缶詰の内面塗料からのビスフェノールAの溶出データは、スペインでの豆の缶詰の実験で最高76ppbが検出されたなどの報告はあるが、日本でのデータはほとんど明らかになっていない。

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