<大型焼却炉はダイオキシン発生を完全に防ぐことができるのか>

ファミテック沖縄  具志堅 透


 ゴミ焼却場のダイオキシン発生の原因として、

@塩化ビニール(塩素が60%)と
A食品中の食塩(塩化ナトリウム)と他の樹脂

があるといわれ、厚生省は、大型焼却炉による高温処理によってダイオキシンの発生が防げるとし、一日100t以上の大型焼却炉にのみ補助金を出すと言っている。この方法で、本当にダイオキシン発生が防げるのであろうか?
 確かに、800度で、2秒間燃焼させるとダイオキシンが分解するといわれるが、大型焼却炉はすぐには高温にはならず、ゴミを投入すると温度が下がり、ダイオキシンの発生率は1/2 にしか下がらない。また、炉壁は高温過ぎると耐久性は減少し、建築コストの割に耐用年数が短くなる。逆に高温にするために、燃やすための大量のゴミが必要となってしまう。都市ゴミに含まれる塩ビ廃棄物は全体の1%以下である。1%以下の物質を分解するために100%を高温化することは如何に多くの燃料を浪費しているかがわかるであろう。塩ビの分別収集単独焼却の方向に努力していくほうがはるかに高温化の効率がよいし、ダイオキシン発生が防げるであろう。その方向にこそ助成金を出すべきである。
 毎日100tの生ゴミを発生する大都市型の焼却炉にのみ補助金を出すのは、中央集権的な発想であり、地方自治、地方分権的な流れに逆行する。従来の焼却炉に対する補助金は、補助金を受けたいがために、実際より高い虚偽のダイオキシン濃度を申告するという事態まで発生させてしまった。こうした補助金の方向を再検討し新たな提案として、塩化ビニール製品であるということの表示の製造業者への義務つけ、分別収集、個別焼却に対し助成するべきであろう。また沖縄県では、那覇市、浦添市で家庭用ゴミ処理機に最高2万円までの助成金を出しているが、こうした市町村の家庭ゴミの処理機助成策を拡大運用し、生ゴミ収集、堆肥化、有機肥料化する業者に助成金枠を新設するほうが建設的であろう。行政側としては、産業廃棄物としての生ゴミ処理については、排出企業に対し毅然とした自己処理策を講じるよう指導するべきであろう。自然環境にやさしい企業活動を推進するべきである。
 徹底した分別収集、個別処理によって、生ゴミの堆肥、有機肥料化や、塩ビ製品の個別高温処理等を推進し、ダイオキシンが発生せず燃料浪費のないゴミ焼却をめざすべきであろう。


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